神の世に神のかよひしあとなれや雲井につづく天橋立
郷土の誇り天橋立の環境を守る
毎日の美化活動と実態報告書

(天橋立・だんご川海岸の漂着ゴミと、
舟越の情況について【最新版】)

期間平成11年9月〜平成18年4月30日
現在も継続中

天橋立・船越付近の毎日の
ボランティア清掃報告です

丸で囲んだ場所が現地です
<清掃の目的>
阿蘇海、与謝の海、天橋立及びその内部の構造物に至るまで
それら全ての酸性状態からの脱却、環境の健全化を目指しています。


<概要>
宮津市天橋地区のだんご川海岸(阿蘇海)は、野田川(倉梯川)、男山川、真名井川、
大橋川、三田川、だんご川などの河川から流れる出るゴミ(自然・人工ゴミ、不法廃棄ゴミ)、
生活排水、一部工業廃水により阿蘇海そのものの富栄養化が進み、異常発生した青々藻など、
それら全ての漂流ゴミの終点ともいえる所です。
 当然悪臭もひどく、近隣の住民はおろか、天橋立を散策する観光客にまで
不快感を与える場所となっています。

ゴミ自体も以前は自然浄化する可燃ゴミ(藻、葦、流木)が主でしたが、
近年では不燃物、ガレキが多く観光地としての景観を阻害するばかりか、
藻類がくさり悪臭が漂い、護岸にはペットの糞なども多く
地区民や観光客達が不快な思いをされています。
(ペットの糞については松林の徹底した美化により改善傾向です)

驚くべき事にゴミ袋に入ったまま打ち上げられるケースもあるのです。
以下の写真が現地の様子です

袋に入ったまま打ち上げられる

藻が腐り悪臭が漂う

不燃ごみも非常に多い

大量の葦
近年の分別収集が難しいのか、めんどうなのか、袋に入ったまま捨てられます
主な漂着ゴミ>

 中身が入ったままの各市町村のゴミ袋
長尺物の葦、葦の根、各種の藻、流木、動物の死骸、公共の標識、
 ペットボトル、肥料袋、缶類、ビン類、トレー、野菜類、釣りのうき、
 スーパーのビニール袋、野球ボール、ソフトボール、バレーボール、
 テニスボール・サッカーボール、オムツ、生理用品、苗のポット、
使い捨てライター、アイスクリームの棒、中型冷蔵庫、自動車のタイヤ等
 
各種靴工事現場の道具使い捨てライター、救命胴衣、各種発泡スチロール
 など
他に袋には入れる事のできない流木、葦、藻が大量にあり、時折土木事務所に処理
をお願いしております。 しかし不法投棄は重大な犯罪である事から行政が中心と
なり、更なる啓蒙活動と指導をお願いしたく思います。

<中身が出て袋だけ漂流しているものもありますが
ほとんどは各自治体のゴミ袋とも中身が入ったままです>
通期 330 袋

これはまるで、ゴミの合併です



以下は平成11年9月〜18年4月30日までに回収した自然浄化できない
ゴミの数です。 これも全て回収できているわけではありませんので
阿蘇海全体を考えると、実際にはもっと多いとご認識下さい。


平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年
1月 24 55 49 20 23 30 48
2月 27 20 17 12 31 22 24
3月 55 73 23 13 19 13 21
4月 43 17 13 17 41 11 39
5月 32 17 18 12 35 25
6月 15 12 13 13 28 7
7月 22 18 19 43 24 16
8月 20 33 13 28 17 16
9月 25 33 28 14 17 38 7
10月 40 35 29 30 16 14 14
11月 43 18 16 29 11 23 8
12月 42 39 8 32 32 20 21
150 363 326 270 234 313 190 132
※単位は(袋) 7年間合計 1,978 袋

<府・市・町民の誇り、美しき、超一流ブランド・天橋立>

一方では、潮の流れはゴミだけではなく綺麗な砂も運んでおり、このような
場所にも「白砂青松」の名の通り大変美しい砂浜ができております。

最近、天橋立は散策を楽しむ観光客が増えており、地元においても
地区民のウオーキングや、ペットの散歩をされる方が多くなっております。
初冬にはコハクチョウが飛来し、天橋立の美しさに花を添えてくれますし
、松越しに見える日の出や夕日、月夜など絵になる風景などなど
いわゆる内部景観の保全・整備も大事な要素です。

天橋立は地域住民だけではなく、市民、府民、国民の財産と考えます
立派な自然・文化遺産を持つ誇りを忘れてはなりません。
それが為にもゴミの無い美しい天橋立にしてゆかねばならないのです。

幸い、小学校などでは授業の一環として環境学習をされており、この
ゴミの問題にも関心を持って頂いておりますし、マツクイムシ、松枯れ
の対策も官民一体となった保全活動が少しづつ前に進んでおり、
全国のモデル・ケースとなってきております。

また、一昨年の台風23号で大被害を受けた松も「天橋立名松
リバース実行委員会」の活動により再生・再活用されるなど保全
に向けた動きも加速してきており、喜ばしい限りであります。

こうした明るいニュースもある一方、地球環境の問題をおろそか
にしますと、CO2の増大・・・100年先には平均気温は3度も上昇し、
海水面は88CM上昇、風速80M/秒クラスの超大型台風の来襲
など天橋立の存続に重大な危機が予測されています。

このような事態を回避する為、今我々に何ができるのか?
これを考えた時、身近な問題=天橋立のゴミ問題も地球環境
と直結する重大な懸案事項であるとお解り頂けると思います。

<下草を刈ると庭園のように美しい松並木になるのです>


他にも美化事業や、各種団体による清掃も行われておりますが
河川、海水の汚れは82,5%が生活廃水による汚染であります。
(産業排水14,3%、その他2,7%)
下水道の完備も含め、排水に対するケアが早急に必要であります。
現状では、溝尻漁協が環境にやさしい洗剤の啓蒙をされるなどしておられ
できるところからのケアという事になるのでしょうが・・・。
阿蘇海も、よい魚がたくさん取れる豊かな海になるよう願っております。

このように天橋立を美しく守るということは、多くの観光客誘致につながり、
ひいては宮津、与謝一帯の経済発展の基盤作りに作用すると信じております。
天橋立があってこそ、この地域が成り立っている現状をよく理解しなけれ
ばなりません。(なにも観光業者だけの利益では無いのです)

先人・先輩たちが守ってくれた財産。
名実とも美しい天橋立、後世に誇れる天橋立にする為
さらなる市民の深い理解と行動をお願いしたいものです。


 天橋立を守る会 会長 森 輝吉

※この内容はホームページ「あまのはしだてねっと」にも掲載しています
http://www.amanohashidate.net/hamasouji/top.html